DUNU Mortise
リンクの他に違うバージョンがある場合がございます。スペックの違いにご注意ください。
長所
- +下中域の厚みから来る男声の重みと、上中域を抑えた女声の刺さらない自然さ
- +Q-Lock Miniで3.5mmシングルエンド/4.4mmバランス両プラグが標準同梱
- +適応型サスペンションと軽いクランプで長時間使っても頭・首に負担がない
短所
- -速く刻むキックやエレクトロニックのベースラインで低音が膨らんで輪郭が定まらない
- -高域のスパークルと微細音の描写が控えめで、解析的な試聴には物足りない
- -オープン型の構造上、遮音性はほぼなく音漏れが大きい
総合レビューREVIEW
IEMで確立した名前を持つDUNUが、初めてフルサイズのオープン型ヘッドフォンに踏み出した機種です。ハウジングには北米産ブラックウォールナットを採用し、振動板には極薄カーボンファイバーを用いた50mmダイナミックドライバーを搭載。ケーブルはQ-Lock Miniモジュラー方式で、3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスの両プラグが標準で付属します。 Mortiseを鳴らしてすぐ、「ああ、やっぱりDUNUだ」という印象がありました。聴き込んでいくうちに一番印象に残るのは、声と弦の帯域の充実感です。男声はしっかり胸から出てくる重みがあり、上の帯域が意図的に抑えられているおかげで女声もキツくならずに滑らかに聴けます。これは「柔らかい=のっぺり」とは違って、アコースティックギターの胴鳴りやピアノの低音弦の余韻が途切れず自然につながる種類の豊かさで、ジャズのカルテットや弾き語りの録音でよく出てきます。ボーカルが前に出て打ち込みベースが太いJ-POPでも、声が埋もれることはありませんでした。 オープン型として想定より多めの低音も、この機種の個性のひとつです。キックドラムやウォーキングベースが丸く重く鳴り、音が立ち上がってからゆるやかに膨らんで引いていきます。スローなジャズやフォークではこの温度感がプラスに働く一方、速いキックが連打されるエレクトロニックや、複数の楽器が重なるプログレッシブ・メタルのような密なアレンジでは輪郭が定まらず、音同士がくっついてしまうことがあります。サブベースの沈み込みも控えめで、深い低域の量感を求めると物足りなく感じるでしょう。 聴き疲れをほぼ感じないのは、上の帯域が意図的に抑えられているからです。シンバルは柔らかい輝きとして出てきて、ハイハットのアタックが刺さってくることもありません。ただ、そのぶん微細な音の質感は後退していて、打楽器のスティックの当たり方やボウイングの細かい変化は後ろに下がります。同じオープン型でHIFIMAN ANANDA NANO(平面駆動)と比べると、高域の情報量と微細な描写の差は明確です。分離感も十分ではあるものの、ボーカルと複数の楽器が重なるサビの場面では輪郭が曖昧になります。 音の広がりは自然で、構造のおかげで窮屈さはありません。生演奏のアンサンブルを聴くと、楽器がほどよく散らばって位置が把握しやすく、奥の音がぼやける感じもありません。ただし深さ方向の精密さは「悪くない」程度で、前後の層をきれいに並べる点ではより解析的な設計のヘッドフォンに分があります。 実際に長時間使ってみると、装着の快適さは想像以上でした。ステップ調節のない適応型サスペンションバンドが頭の形に自然に乗り、パッドは柔らかく、クランプも軽いので、長い試聴セッションでも耳や側頭部に疲れが来ません。約325gという重量は、木製筐体のフルサイズとして特別重くはないです。 構造上、外音の遮断はほぼ期待できません。周囲への音漏れも相応にあり、共有スペースや家族が近くにいる環境では使いにくいです。デスクや静かな自室専用と割り切って使うことが前提になります。 総評: 技術面の到達点より、聴いていて疲れない音楽的な心地よさを中心に設計した機種です。中音域の自然な声の質感とボーカルの聴きやすさは、このクラスのオープン型の中でもひとつの個性として通用します。一方、低音の定義感・高域の鮮やかさ・分離の精度は、より解析的な競合機に明確に劣ります。個人的には、弦楽やジャズを長時間のんびり聴くなら満足できる機種だと思いますが、速い音楽や密度の高い編成を主軸にするなら別の選択肢を探した方がいいかもしれません。
— Gadgetal編集部
スペックSPECIFICATIONS
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