final E4000
リンクの他に違うバージョンがある場合がございます。スペックの違いにご注意ください。
概要DETAIL
最新の音響工学、音響心理学の研究成果を踏まえ、音質設計を行いました。高音の一部を強調するという一般的な音作りの手法を使うと、一聴して音の鮮やかさを感じさせるのですが、そのことによって、他の音域が埋もれて聴こえにくくなってしまいます。 E4000では、強調した音域を作らないことに加え、細かな音の表現に徹底的にこだわることにより、目の前に迫るリアリティのある臨場感を実現しました。 さらに、MMCX端子採用のリケーブルタイプで、万が一断線した際もケーブルの交換が可能です。
長所
- +独特のL字挿入形状が生む奥行きある立体的な音場
- +低域から中低域にかけて温かみが乗り、長時間でも聴き疲れしにくい音作り
- +Eイヤーピース・シリコンケース込みの実用的な付属品と柔らかいOFCケーブル
短所
- -周波数が上がるにつれ音量が落ちる設計により高域の情報量に明確な天井がある
- -ベント構造による音漏れが多く、電車や静かな環境では音量に制限がかかる
- -低音の量感はあるが質感が丸く、速いビートで塊感が出て細部の分解が弱い
総合レビューREVIEW
finalのE4000は、同社が展開したEシリーズの4機種(E2000・E3000・E4000・E5000)のうち、E5000と並ぶ上位2機種のひとつです。エントリーのE2000・E3000がプラスチックハウジングと固定ケーブルを採用していたのに対し、E4000からアルミハウジングとMMCX脱着式ケーブルが導入され、シリーズとしての質感が一段上がる節目にあたります。6.4mmダイナミックドライバー1基、インピーダンス15Ω、重さ18gという仕様で、実売2万2,000円前後の価格帯に位置します。ハウジング後部にアコースティックレジスターを設け、L字型チャンバーとの組み合わせで背圧を制御するというfinal独自の音響設計を持ちます。Eシリーズの後にはB-seriesやA-seriesが登場しており、A-seriesには独自開発の「F Core Du」ドライバーが搭載されていますが、E4000はその前世代の設計に位置します。 弾丸のように細長いアルミのハウジングがケーブルごとL字に折れており、耳介に触れずそのまま外耳道へ真っ直ぐ差し込む「ドライバー型」と呼ばれる挿入スタイルです。最初の一回は「ちゃんと入っているのか」と戸惑いましたが、フィット感が掴めると長時間でも苦にならない安定感に落ち着きます。18gという軽さが、慣れるまでの不安を和らげてくれます。 鳴らして最初に印象的だったのは、音場の奥行き感です。小さなシェルが耳の中でほとんど存在を主張せず、その分だけ音が耳の外の空間に広がるような感触があります。ベースラインが体の下方向から回り込んでくる感覚は、2万円台のIEMとしては印象的で、弦楽器のパートとパートの間にも隙間が感じられます。L字チャンバーが生む独特の音響効果からでしょう——この形状を選んだことが偶然ではないと思いました。 その音場の軸になっているのが低域の量感で、ベースやキックが前に出てきて全体の重心が下に引かれます。ただ、タイトに締まった種類の低音ではなく、丸みを帯びたふわっとした質感です。音が鳴った瞬間の存在感はあるものの、その周囲がわずかに広がりながら消えていく感じで、速い連打のビートではアタックとアタックの間が少し詰まって塊に聴こえる場面があります。リズムの細かさを拾うのはこの機種の得意ではない領域です。この丸みが全体の温かみにつながっており、長時間聴いても耳が疲れにくい理由がここにあります。 周波数が上がるにつれ音量が落ちるというチューニングの性格上、シンバルの倍音や女性ボーカルの上の成分は控えめです。曇るというより「明るくない」という表現が近く、情報は届いているが量が多くない状態です。弦楽器が複数絡む場面や、ギターとボーカルが重なるサビでは各パートの輪郭が少し溶け合い、細部を追いかけるのが難しくなります。これは設計上の選択の結果で、高域の伸びより帯域全体の統一感と聴き疲れのなさを優先したチューニングと見るのが正確です。 ボーカルは暖かみのある自然な質感で、落ち着いたテンポのポップスやR&Bのように、ボーカルとベースが主役の音源では素直に聴けます。声の子音のクリアさや倍音の輝きを求める聴き方には、少し物足りなさが出ます。個人的には、この機種は解像感より雰囲気を求める場面に向いていると思います。 実用上でひとつ注意したいのが音漏れです。ベントの設計上、外からの音をある程度は遮りますが、逆方向——内側から外への音漏れがかなりあります。音量を上げると周囲に聞こえてしまう程度で、電車内や静かなオフィスでは気を使う場面が出てきます。デスクワーク中や自宅での使用が中心なら問題ありませんが、通勤でガンガン使いたい場合はここが制限になります。 ビルド面では、黒アルマイトのアルミハウジングが軽量ながら手に取ったときの質感を保っており、価格以上に見えます。付属のEイヤーピースは、フレキシブルなステムが耳の形に沿いやすい独自設計で、他社の標準的なシリコンイヤーピースと差し替えてみると良さが分かります。丸いシリコンケースも合理的で、ケーブルごとコイルして収納できます。ケーブルはOFCの柔らかい素材で取り回しに優れ、E5000に付属するJunkosha製銀メッキケーブルのような特別感こそないものの、日常使いで不満が出る性質ではありません。 Eシリーズの中での立ち位置を整理しておくと、E2000・E3000からE4000への変化はケーブルの脱着式化とメタルハウジングの採用で、日常使いの安心感が上がりました。ひとつ上のE5000は筐体がステンレスになり低音の深みと音場のスケールがさらに上がる設計で、実売価格の差(E4000の約2倍)がおおむね音の差に対応しています。 総評: 温かみのある低域主導のサウンドと、L字形状が生む意外な音場の立体感は、この機種ならではの実際の強みです。ただ、高域の情報量と解像度に明確な天井があり、複雑な編成の音源を細かく聴き込もうとすると限界が見えてきます。2026年時点での同価格帯には解像度で上回るIEMが複数出てきており、コスパの優位はかつてほど一方的ではありません。それでも、聴き疲れしにくい音と独特の音場感を気に入れるなら、同シリーズのE5000(約¥42,000)に踏み込む前の手頃な入り口として意味のある一機です。
— Gadgetal編集部
スペックSPECIFICATIONS
各カテゴリーのデータベースDATABASE
シリーズ製品
同シリーズの関連モデル
同価格帯でよく比較される製品
価格帯が近く、傾向の似たモデル