DDHiFi E13P Memory
リンクの他に違うバージョンがある場合がございます。スペックの違いにご注意ください。
概要DETAIL
「Memory」は、サイドファイアリング式のサウンドチューブと柔らかいシリコン製イヤーチップを備えたセミインイヤー型ハウジングを採用しており、パッシブノイズアイソレーションとオープンフィットの快適さを両立しています。超コンパクトな金属製シェルはさまざまな耳の形にフィットし、安定した装着感と長時間の使用でも疲れにくい着け心地を実現しています。
長所
- +複数パートが重なるアレンジでも楽器間の定義感が崩れない中域の解像度
- +CS43198内蔵でスマートフォン直挿しが成立する、ドングル不要の一体型設計
- +セミインイヤー構造由来の長時間装着への優しさ
短所
- -約25,500円という価格でケーブル両端固定・着脱不可の制約
- -高域の倍音の輝きと上方向への抜け感が控えめで、明るい音色を求める人には物足りない
- -セミインイヤー構造由来で騒音環境では外音が入り、密閉型IEMと同列の遮音は期待できない
総合レビューREVIEW
DDHiFi E13P Memory(以下、Memory)は、同社にとって初めての平面駆動イヤホンです。Moondropと共同開発・共同チューニングされた13mmの平面駆動ドライバーと、CS43198というDACチップを内蔵したUSB Type-Cプラグを一体化した設計が最大の個性で、実売価格は約30,000円。ケーブルは両端固定で、リケーブルも外部DACとの組み合わせも最初から想定していません。 ケースを開けると、カセットテープを模したCZ120という収納ケースが出てきます。アルミシェルと外編みケーブルの手触りは価格相応以上に丁寧で、機能優先のUSB-C一体イヤホンにありがちな安っぽさがありません。 肝心の音質でまずお伝えしたいのが中域の充実ぶりです。声と楽器が重なる打ち込みの楽曲で、ボーカルの粒立ちと器楽の輪郭が混ざらずに追える。この解像感は価格帯の平面駆動IEMとして印象的で、複数のパートが絡み合うサビでも定義感が崩れません。男性ボーカルはわずかに喉の厚みがあり、有機的な質感をもっています。ただ声が勢いよく前に押し出てくるタイプではなく、バンドサウンド全体にきれいに溶け込む方向性です。個人的には、その「主張しない透明感」が長時間聴いても疲れない理由だと思います。 速く叩くキックドラムでも音が崩れず、制動の効いた低域が鳴ります。アタックがあり、鳴った後はすぐ収まって次の音にしっかり応答できます。ベースラインが太いエレクトロニック系の楽曲を流しても、低域のエネルギーが中域まで膨らんでくることがほとんどなく、それが中域の解像感の維持に貢献しています。動的なパンチ感・重量感では同価格帯の動的ドライバーIEMに部分的に譲りますが、平面駆動らしい整理された低域という点では評価できます。 Moondropとの共同チューニングで最も意図が明確なのが高域の設計です。刺さりや子音の張り出しを抑えており、シンバルやストリングスを長時間聴いても疲れません。ただシンバルのクラッシュや弦楽の擦れ音は倍音の輝きが丸まった印象で、高い帯域への抜け感を好む人には少し息苦しく感じるかもしれません。 楽器の前後関係は整理されており、ボーカルと器楽の位置感は追いやすいです。頭外への音像展開もあり、極端に狭くはありません。ただし広大な空間感を演出するチューニングではなく、まとまりの良さが優先されていて、静かな場所でじっくり向き合う使い方に向いています。 装着の快適さも語りどころのひとつです。セミインイヤーの構造は耳への圧迫が少なく、軽いシェルが長時間でも負担を感じさせません。ケーブルを上向きに回してもフィットします。ただ、セミインイヤーかつベント付きである以上、密閉型IEMと同じ遮音性は期待できません。通勤電車や繁華街では外音が入ります。 コスパを語る上で、固定ケーブルを避けて通れません。CS43198という高品位DACを内蔵しているため、スマートフォンから直接高品位再生できる利便性は確かです。ただし同価格帯の着脱式ケーブルを備えたIEM、たとえばKZ Sonata X(約22,500円、同じ価格帯の多ドライバーIEM)と比べると、ケーブル断線時の修理やソースのアップグレードという観点でMemoryは長期的な汎用性で劣ります。スマートフォンへの電力消費も多めで、5,000mAhクラスのバッテリーで使用時間が8〜10時間台まで短くなる点も気に留めておく必要があります。USBプラグ内のLEDが再生フォーマットを色分けで示す細部への配慮は好感が持てますが、それが固定ケーブルの制約を埋めるかどうかは使い方次第です。 総評:MemoryはCS43198と平面駆動ドライバーをスマートフォン直挿しで実現するという、目的が明確な製品です。中域の解像度と装着快適性は本物で、Moondropとの共同チューニングが利便性重視の設計に音楽的な根拠を与えていることは伝わります。ただし両端固定ケーブルという設計は、約25,500円という価格に対して長期的なリスクを負わせます。USB-C直挿しで完結させることを最初から決めている人には充分な出来ですが、「将来的に何か変えたい」という余地を少しでも求めるなら、この価格帯には着脱式ケーブルをもつより柔軟な選択肢があります。
— Gadgetal編集部
スペックSPECIFICATIONS
各カテゴリーのデータベースDATABASE
同価格帯でよく比較される製品
価格帯が近く、傾向の似たモデル