TANCHJIM OLAⅡ
リンクの他に違うバージョンがある場合がございます。スペックの違いにご注意ください。
概要DETAIL
OLA IIは、10mm DMT 5 デュアル磁気回路・デュアルチャンバー構造ダイナミックドライバーを搭載。限られたユニット内部のスペースを有効に活用する大型磁気回路により、磁気回路スペースの利用効率を高め、ボイスコイルの動作領域における有効磁束を強化しています。デュアル磁気回路は、磁気ギャップ内の磁束密度と磁場の均一性を高めるための構造です。デュアルチャンバー構造は、振動板前後の空気負荷を適切にコントロール。さらに、より長い振動板ストロークにより、低域のダイナミクスと大信号入力時のレスポンスを支えます。
長所
- +コアキシャル(同軸)ハイブリッド由来の帯域の繋がりが自然で、高域が別方向から浮かない
- +この価格帯で際立ってタイトな定位精度——弦楽器や声の位置が掴みやすい
- +男性ボーカルの重心が沈んで薄くなりにくい(後方の大型チャンバー設計の効果)
短所
- -ミッドベースの量感が複雑な録音でボーカルやディテールを圧迫する
- -音場の広さがソースの出力次第で大きく変わる
- -角度・深さの微調整が必要で、自然にシールされる形状ではない
総合レビューREVIEW
Tanchjim Ola IIは2026年7月に登場した1DD+1BAコアキシャルハイブリッドで、実売¥8,000〜10,000で入手できます。10mm DMT5ダイナミックドライバーとPURE Hi BAを同一軸上に重ねたコアキシャル構成は、前作のシングルDDから大きく踏み込んだ変更です。前代のOlaがボーカルの透明感を優先するあまり低域が控えめで、Bass iSが低域を足したものの声が浮いてしまうという、二機種に分散していた課題を一台に統合しようとした設計です。 DDとBAを同一軸上に置く構成に着目。一般的なハイブリッドでは高域と中低域が別々のドライバー位置から放射されるため、定位のフォーカスが微妙にずれやすいと言われます。実際に鳴らしてみると、その意図が聴感に出ていると感じました。ピアノの左右の鍵盤の位置や、ヴァイオリンのボウイングの場所が想像しやすく、各楽器の輪郭がハッキリと掴めます。この精度が、Ola IIの一番の持ち味です。ただし音場の広さはソースによって変わります。出力に余裕のあるDAPやポータブルアンプと組み合わせると横幅と縦の高さが開きますが、スマホ直挿しやエントリーレベルのドングルDACだと、定位は精確なままでも全体が頭内に収まりがちです。この機種を評価するなら、ある程度しっかりした音源を前提にしたほうがいいでしょう。 低域はミッドベースに重心があります。キックのアタックと余韻がよく感じられ、単音のベースラインは厚みを持って聴けます。後方に設けられた大型チャンバーが、男性ボーカルの帯域を支える設計になっていて、これは実際に効いています。低音量の多いJ-POPや、男性ラッパーのフロウを聴いた時、声の重心が沈んで安定しており、前作で指摘されていた「声が浮く」感覚はありません。一方、キックが速く連続する電子音楽では少しもたつく感じがあり、輪郭が若干曖昧になります。 複数パートが密に重なるサビやバンドアレンジの密度が高い音源になると、このミッドベースの量感がボーカルと弦のエッジを曖昧にします。個人的には、ボーカルが主役でバッキングがシンプルな音源ではかなり気持ちよく使えましたが、多層的なアレンジが続くアルバムを通して聴くと、情報が少し塊になる場面がありました。DUNU Titan Xと同価格帯での比較では、Ola IIはイメージングとボーカルの定位精度で上回りますが、Titan Xが得意とする単純な低域の迫力とは方向が違います。 高域は明るく延伸感があります。シンバルのクラッシュの広がりやハイハットの刻みは最後まで追えます。ただし均一にスムーズとは言えず、一部の帯域でやや突き出す箇所があり、音量を上げた時に気になることがあります。刺さりや強いざらつきには発展しませんが、完全にフラットな高域ではありません。 筐体は弾丸型で約5gと軽く、透明なポリカーボネートシェルから内部のドライバー配線が透けて見えます。前作Olaで報告されていたアルミフェイスプレートの端が耳に食い込む問題は、フェイスプレート形状の見直しで改善されました。とはいえ自然にシールされる形状ではなく、角度と挿入深さの微調整が必要です。一度決まれば小型軽量で圧迫感は少なく、長時間使用でも耳への負担は小さいです。ベントが2箇所設けられているため遮音性は中程度で、屋外の騒音下では周囲の音が入ってきます。付属ケーブルはLitz SPCをファブリックシースで巻いたもので、タッチノイズもほとんどなく、この価格帯の標準を大きく超えた質です。3.5mm・4.4mm・DSP Type-Cの3バリエーションから選べ、DSP版はTanchjim Appと連携したイコライザー調整に対応しています。 総評: ¥8,000〜10,000でコアキシャルハイブリッドを持ち込み、前作二機種の弱点をそれぞれ設計上で解こうとしたことはよく分かる仕上がりで、イメージング精度とボーカルの重心の安定感はこの価格で素直に良いと思います。ただし「複雑な録音でもボーカルが埋もれない透明感」を求める方には、ミッドベースの量感がトレードオフになります。ボーカルが主軸のJ-POPや、音数の少ないジャズ・アコースティック系を中心に聴くなら、この価格での選択肢として強く推せます。
— Gadgetal編集部
スペックSPECIFICATIONS
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