Grand Oriveti Eminency
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概要DETAIL
Grand Oriveti Eminencyは、片側13基のドライバーを搭載したトライブリッドIEMです。10mm複合ダイナミックドライバー、8基のカスタム・バランスドアーマチュアドライバー、4基のプラナードライバーを組み合わせ、それぞれのドライバーが特定の周波数帯域を精密に担当するよう設計されています。
長所
- +安定材木製シェルと職人技の仕上げで多くの高価格帯モデルを圧倒するデザイン
- +プラナードライバー採用の高域が自然で刺さらず細部まで明瞭な描写
- +低域は強いシェルフを持ちながらブーミーにならない速く制御された低域
短所
- -前作Supremacyと比べて中域の温かみが減りよりニュートラルな方向にシフト
- -音場の広さは価格相応の広大さとはいえない部分もある
総合レビューREVIEW
オリヴェティは2015年設立のブランドで、派手なプロモーションとは意図的に距離を置いてきた会社です。主力ラインである「Grand Oriveti」はスタビライズドウッドシェルを軸に据えた高級路線で、2024年には最上位機のSupremacyをリリースしています。今回のEminencyは同ラインの新モデルで、価格は$1,299(約19万〜20万円前後)。Supremacyと同等の構築哲学と豪華な付属品を継承しながら、ドライバー数はより多い13基構成になっています。 手に取って最初に目を引くのが、シェルの色の渦です。スタビライズドウッドは同じ柄がふたつとなく、緑・紫・金のゴールドアクセントが溶け込んだ外観は照明の角度によって表情が変わります。高級時計ケースに並べても違和感のない「ものを所有する」という感覚がこのIEMには確かにあって、造形の所有欲を満たされるだけでも一定の価格の価値を見出すことができると思います。 チューニングはミッドレンジを軸に組まれており、このクラスの IEM として際立って高い完成度です。ボーカルは前に出て輪郭が明確で、男性ボーカルの胸腔共鳴、女性ボーカルの倍音構造がそれぞれ自然に再現されます。アコースティックギターのナイロン弦と鉄弦が音として区別できるほどの質感描写は、価格帯を問わず競合を上回る水準です。「中音が主役」という設計の意図が、聴いた瞬間に分かります。 低域は10mm DDとBAが分担し、サブベースまで深く沈む厚みを持ちつつ、150Hz 以降での急速な減衰が中音への滲み出しを防いでいます。立ち上がりの圧は十分にあり、重心の低い楽曲で物理的な存在感を感じます。ただし mid-bass は意図的に抑えられており、量感を期待するリスナーには物足りないかもしれません。「低域の限界は量ではなく、チューニングの方向性にある」という感触です。 高域は4基のプラナーが担っており、シンバルのクラッシュの輪郭やピッキングの擦れが鮮明に描かれます。S音に対してやや鋭い傾向があり、一部の楽曲でその刺さり感を意識する場面もありますが、刺さりとは異なり長時間の使用でも疲労は積み上がりにくいです。解像度はこのクラスとして例外的な高さで、複数パートが重なるアレンジでも各声部・各楽器が整然と聞き取れます。 音場は横方向に広げる設計で、インストゥルメントの左右配置は明確です。ただし縦方向の奥行き感や高さは限定的で、立体的な 3D 空間より精密な 2D マッピングという印象が近く、同価格帯の空間表現に特化した機種とは方向性が異なります。 装着感はスタビライズドウッドの精密なシェルが耳にしっかりと馴染み、ベントによる圧の解放でも長時間の快適さが保たれます。ノズルが短めで、深挿しを好む人には向かない場面があるかもしれません。遮音性はベント構造により完全密閉型より一歩引きますが、日常の移動使用では不満が出る水準ではありません。 同梱の Twin Revive ドングル DAC/アンプ($149 相当)は、Eminency との組み合わせでサブベースに適度な重みを加え、中音のクリアさを維持する相性の良い組み合わせです。4区画の本革旅行ケースと小型本革ケースを含むアクセサリー全体は、$1,299 という価格に対して内容がかなり充実しており、パッケージとしての価値は高いです。 Supremacy と並べると、Eminency は「前に傾く」で Supremacy は「沈み込む」という関係で、どちらが上ということではなく性格が対照的です。個人的には、ECM や ACT レーベルのスタジオジャズを精緻に分析しながら聴くなら Eminency の透明感が際立つと感じます。 総評:Grand Oriveti Eminency は、デザインが約束する音を意図的に裏切ることで独自の魅力を作った機種です。中音と解像度の水準はこの価格帯で最上位クラスに届いており、高額を投じるに値する明確な理由があります。ただし、サブベースに頼った低域の量感と音場の奥行き不足は、同価格帯の競合(64 Audio U12t 等)と比べた課題として残ります。「バスヘッドでなく、ニュートラルで高解像度な音に高価格を払う覚悟がある」リスナーには、現在市場にある $1,000-1,500 台の選択肢の中でも数少ない説得力を持つ一本です。
— Gadgetal編集部
スペックSPECIFICATIONS
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