KZ ZS12 Pro X
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概要DETAIL
KZ ZS12 PRO X インイヤーモニターはゲーム等のシーン向けに設計され、1DD+5BAのハイブリッドドライバー構成を採用。低周波数帯、中周波数帯、高周波数帯、超高周波数帯はそれぞれ独立したドライバーで処理される。ダイナミックドライバーは低周波数帯と中周波数帯を担当し、十分な低周波応答と自然な中周波数の推移を実現し、音楽のダイナミクスと雰囲気を高める。バランスアーマチュアドライバーは高周波数帯に長けており、高周波の詳細を精密に再現する。
長所
- +4つのディップスイッチで低音量感を3段階・高音を1段階削減できる実用的なチューニング機能
- +ダイカスト亜鉛合金のオールメタルビルドで密度と耐久感が価格帯を超えている
- +価格帯にしては楽器の輪郭が潰れにくく、ポップスやロックで分離感がしっかり出る
短所
- -ベースとキックが重なるような複雑なトラックで低音が膨らみ輪郭が崩れやすい
- -中高域全体にメタリックな色みが乗り、弦楽器や声の自然な質感を損なう
- -オールメタルシェルの重量で長時間連続装着に向かず、フォームチップへの変更が実質必須
総合レビューREVIEW
KZ ZS12 Pro Xは、10mmダイナミックドライバーと5つのバランスドアーマチュアを組み合わせた1DD+5BAハイブリッドIEMです。KZ ZS10系の後継ラインにあたり、オールメタルの亜鉛合金シェルと4つのディップスイッチによるチューニング機能が最大の特徴。スイッチなしのスタンダード版とスイッチ付きのチューニング版の2種類が存在します。実売価格は実売価格は¥5,000~¥7,000。 チューニングを変化できるスイッチを搭載しています。スイッチ1〜3が順に低音を段階的に積み上げ、スイッチ4が高音をわずかに引き戻す仕組みで、全オフの素の状態と、2〜3個オンにした状態では音の重心がかなり変わります。 DDが低域から中域全体を担当する構成になっているため、低域とBA側との繋ぎ目が不自然に飛び出てくる感触がないのは好印象です。低音はサブベースの沈み込みがあり、ミッドベースのアタックもハッキリ出ます。ただ、電子音楽のようにキックとベースラインが密度高く重なる場面では、低音の輪郭が少し崩れて全体がまとまりにくくなります。量はあるのですが、込み入った音楽を正確に処理しきるだけの精度は持っていない——シンプルな編成ほどその良さが活きる傾向です。 もうひとつ本機全体を貫いているのが、中域から高域にかけての金属的な色みです。ボーカルはアッパーミッドの強調で前に出てくるのですが、ピアノの倍音の丸さや弦楽器の胴鳴りが、どこかプラスチックの被膜を通したような感触になることがあります。スイッチ設定を変えても基本的には付いてまわる傾向で、本機のキャラクターとして受け入れるか、苦手であれば別の選択肢を探すか、という判断になります。とはいえ、シンセが主体の打ち込み系やロックでは、この金属的な鋭さが逆に抜け感として機能するシーンもありました。 高音は延伸感とエア感があり、シンバルのアタックや細かい打ち込みの音まで拾ってくれます。明るめのソースと組み合わせると、音量を上げたときに下側の高音が鋭くなり、子音の強い女性ボーカルやハイハットの連続刻みで刺さりを感じます。ソースは大人しめのものが合う印象で、明るい傾向のドングルやDACと組み合わせる場合は注意が必要です。 音場は横の広がりが控えめで、音が目の前にまとまる感覚が強いです。ただ、窮屈というほどでもなく、エアと奥行きはある程度確保されています。分離感は価格帯として十分で、ポップスやロックで楽器が一団に潰れることはありませんが、同じKZの多ドラ系で比べてもKZ Phantomあたりの方がもう一段位置感が掴みやすい印象です。 装着感については、亜鉛合金ダイカストという素材の密度がそのまま重量に出ています。形状はKZお馴染みの型で多くの耳にフィットするはずですが、短時間であれば問題なく、長時間の連続使用では耳に重みを感じ始めます。個人的には2時間超のぶっ通しには向かないと感じました。付属のシリコンチップでは固定が甘くなりやすく、フォームチップへの変更をおすすめします——フォームに替えると低音のシールも改善します。遮音性は生活音をある程度遮断できる実用レベルで、通勤での使用に問題はありません。 付属ケーブルは銀メッキ銅のフラット線で、硬さとタッチノイズが気になります。機能自体は果たしますが、リケーブルする理由の筆頭になる部分です。シェルはQDC式2ピンなので交換先の選択肢は広いと思います。 総評: ZS12 Pro Xは、この価格帯のIEMとして明確な個性を持っています。ディップスイッチで音色を自分好みに変えられる機能と、亜鉛合金のビルドは競合に対するアドバンテージです。ただし低音の制御と全帯域のメタリックな色みは惜しく、同価格帯で音の洗練を追うなら別の選択肢が視野に入ります。幅広いジャンルを気軽に楽しみながら、スイッチをいじって自分なりの音を探したい、というリスナーにはよく刺さる一機です。
— Gadgetal編集部
スペックSPECIFICATIONS
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