Artpical Raphael
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長所
- +天使の翼を模した多層3Dプリントと金属前面の他にない職人的意匠
- +量感よりも質感を重視した、輪郭の崩れない弾力あるベース
- +BAやプラナーにはないDD由来の自然な音色と十分な高域の伸び
短所
- -サブベースの量感は控えめで圧迫感に乏しい
- -シェルが大きめで、浅い耳の方には圧迫感が出やすい
- -付属ポーチは薄手で保護性能が限定的
総合レビューREVIEW
Artpical Raphael は、精緻な工芸品的デザインで知られるARTPICALブランドで最も手に届きやすい位置づけの10mmのLCP複合振動板の1DD機です。上位のMichaelやLuciferが数段上の価格帯に並ぶ中、実売約31,000円前後でブランドの入口となっています。 シェルを手に取ると、まずその美麗な造形に引き込まれます。高透明樹脂の最外層からドライバー背面通気構造を兼ねた複雑な内部が透けて見え、フロントキャビティはCNCアルミ合金の陽極酸化サンドブラスト仕上げ。樹脂シェルと金属フロントが噛み合わさる造形は ARTPICAL 独自の多層3D印刷工法の産物で、「Sakura Snow」「Frost Flame」「Dark Gold」の3色展開どれもが、同価格帯ではほとんど前例のない水準です。個人的には、何万円も高い機種と並べても見劣りしない外観に素直に驚きました。 付属品も際立っています。3.5mmシングルエンド・4.4mmバランス・USB-Cの3プラグが同梱され、USB-Cは 384kHz / 32bit のPCMデコードに対応します。スウェード調のジッパーポーチも質感が高く、実売3万円台のIEMとしての充実度はかなり高いと思います。 音の第一印象は「清潔感・透明感」です。特に高域が核となっており、シングルDDとしては驚くほど伸びやかで空気感があります。若干の輝きを持ちながら刺さらず、シンバルの倍音が整った状態で広がって消えていきます。解像感も良好で細かな音まで素直に届き、各楽器の輪郭が崩れずに分かれているという聴感はマルチDD機に近い仕上がりです。音場にも適度な開放感があり、篭もる印象はありません。 声の帯域は温かさや甘さより自然さで押す設計です。原音の質感をそのまま届けるタイプで同じくニュートラル寄りで低域を足した音調を目指すCrinear Daybreakとの比較では、Raphael が全体的な仕上がりで上回り、サブベースの量感のみDaybreakに分がある印象です。 低域は量より質のチューニングです。ミッドバスへの余計なブーストがなく、サブベースは「出ているが前には出ていない」位置にあります。弾むような音色で自然さが高く、音楽のジャンルを問わず破綻しませんが、ベースの量感でドライブしたい向きには物足りないかもしれません。 装着感はシェルが1DDとしては大きめで、耳の浅い方や小さい方には圧迫感が出ることがあります。遮音性は普通以上で実用上の不満はありません。なお音が冷たい傾向のソースとの組み合わせは避けることが推奨されています。 総評:ARTPICAL のブランド哲学——デザインも音も妥協しない——が、約31,000円で初めて手の届く形になった機種です。高域の伸びとボーカルの自然さは価格帯で本物の実力で、サブベースの量感を重視しないリスナーにはこの価格帯の1DD機の有力な選択肢となります。
— Gadgetal編集部
スペックSPECIFICATIONS
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