TRN JAWS
リンクの他に違うバージョンがある場合がございます。スペックの違いにご注意ください。
概要DETAIL
3DD+4BA+1平面磁界型の8ドライバー旗艦 IEM。10.5mmベリリウム/8mm PET/6mmチタン DD と30095×2・50060×2 BA、6mm プラナーによる6ウェイ分周構成。サメの背びれを模したデザイン。
長所
- +低音は量感を持ちながら余韻が短く収まり、連続するキックでも膨らまない
- +音数が増えても各パートが重なりにくく、広い空間に展開する
- +実売2万円前後でT Ear Tips含む12ペアとUSB-C DACまで揃う付属品の充実度
短所
- -中域は声の厚みや近さを重視する場面で物足りなさが出る
- -高域で細かな高域の粒が積み重なって耳に残る疲労感がある
- -音の抜けと引き換えに、騒がしい環境では使いにくい
総合レビューREVIEW
3DD+4BA+1PD、片側8ドライバー、6ウェイ周波数分割。スペックだけ見ると相当な物量で、正直なところ最初は音が散らかるのを覚悟していました。TRNのフラッグシップ級に位置するトライブリッドIEMで、実売2万円前後という価格帯です。ホホジロザメをモチーフにした半透明のPCシェルは内部の配線とドライバーが透けて見え、8ドライバーが詰まっている割にシェル自体はコンパクトにまとまっています。 鳴らして最初に気づいたのは、低域の動き方でした。サブベースまで沈む量感がありながら、鳴った後の収束が速い。連続するキックが「ドンッ」と短く切れて次の一打へつながっていく感触は、テンポの速い打ち込み音楽で顕著で、リズムを追いながら聴いていると自然と前のめりになります。低域が膨らんで中域に乗ってくる傾向もなく、重なりあう帯域同士がきれいに分かれて聴こえます。 その分離感と連動して、音場も広く取られています。左右への開きに加えて奥行きもあり、場面によっては音が頭後方まで回り込むような感覚があります。6ウェイ分割が機能しているからか、複数のパートが同時に鳴っても一つひとつの輪郭が混ざらず、低域の一打・中域の楽器・高域の粒がそれぞれ独立した場所に立ちます。8ドライバーの情報量が密度でなく広さの方向へ使われている印象で、EDMのように電子音が複雑に交差する楽曲では、この設計の噛み合わせが一気に気持ちよくなります。 ただし、中域はその広さのぶんだけ後退して聴こえます。男性ボーカルは少し奥へ引いており、声の厚みや近さをきちんと感じたい場面では物足りなさが出やすい。女性ボーカルは抜けが良くて上方向へ伸びるのですが、重心が少し高くなりがちで、自然な腰の位置とはわずかにズレる印象でした。楽器の輪郭はハッキリしてリズムの動きは追いやすいのですが、声に湿り気や暖かさを求めると、少し乾いた距離感が気になってきます。ボーカルが前へ出るJ-POPや弾き語りよりも、複数パートが横並びになる楽曲の方がこの中域の設計が活きると感じます。 高域は立ち上がりが速く、シンバルのクラッシュや電子音の細かな粒まで追いやすいです。平面駆動ドライバーが高域の伸びと細部を担っており、価格帯として素直に良いと思うところです。一方で、長時間聴いた後には高域が少しずつ蓄積する感覚があります。一瞬刺さるのではなく、細かな粒を長く追い続けた後に耳にキラキラした余韻が残る、という疲れ方です。個人的には適度に休みながら聴いた方が快適でした。 装着感は8ドライバーの割にはコンパクトで、多くの場合すんなり収まります。ただし半開放的な設計のため遮音性は低く、外からの音も入りやすい。音の抜けと引き換えのトレードオフと理解する方がいいです。付属ケーブルはアルミのヘアラインパーツで統一されていて、見た目の質感は本体と釣り合っています。ただし巻き癖がつきやすく、小さく締めて収納すると跡が取れにくくなるため、ハードケースにゆるく収めておくのが無難です。 付属品の点数は実売2万円前後という価格帯で際立っていて、単品でも流通しているT Ear Tipsを含む4種類12ペアのイヤーピース、ハードケース、USB-C DACまで揃っています。同ブランドのTRN Azure Dragonは中域の自然さとボーカルの厚みをより重視した設計で、幅広いジャンルに対応しやすい。JAWSは低域のスピードと音場の広さで攻める設計で、得意な場面が絞られている分、そこでは一段気持ちよさが際立ちます。 総評: テンポの速い電子音楽を短時間・高集中で楽しむなら、低域の切れ味と音場の広さは実売2万円前後として率直に面白いです。ただし中域の後退とボーカルの不自然さは設計上の選択であって、これを「惜しい」と見るか「そういうチューニング」と受け入れられるかで評価が割れます。ボーカルを軸に幅広く聴きたいなら、同じ価格帯でより中域寄りな設計の機種の方が満足度は高い可能性があります。
— Gadgetal編集部
スペックSPECIFICATIONS
各カテゴリーのデータベースDATABASE
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