TANCHJIM Space Pro
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概要DETAIL
ANCHJIM Space Proは、2つのCS43198 DACチップを採用し、各チャンネルに独立した高出力アンプを組み合わせた設計となっています。最適化された周辺回路設計と、完全バランス方式の4チャンネルデコードアーキテクチャにより、効率的な増幅を実現すると同時にチャンネル間の干渉を最小限に抑え、より純粋で細部まで際立ったサウンドステージを生み出します。
総合レビューREVIEW
TANCHJIMの前モデル「Space」の後継にあたる、ポータブルDAC/アンプです。CS43198デュアルDAC+デュアルオペアンプによる完全バランス4チャンネル構成を採用し、左右・正負の信号経路を変換から増幅まで全工程で独立させています。実売約18,000円。 バランス出力から618mWという数字はこのサイズのDACにしては異様に高い出力で、感度の高いIEMから平面磁界型まで同一機器でカバーできるというのが最初の関心ポイントでした。実際に使ってみると、出力の数字はただのスペックではなく、平面磁界型ヘッドフォンで低域の沈み込みが圧縮される感触がない、という形で確認できます。高インピーダンスのヘッドフォンをつないでも余裕が崩れません。 音の基本的な性格は透明・ニュートラルです。DACが余計な着色を足さないため、IEMやヘッドフォンが本来持っている音の傾向をそのまま出力する設計になっています。低域はベース量を底上げせず、ファストなアタックのキックドラムが速く沈み込んで素早く消える感触はIEM側の性能のままでした。そのためウォームな傾向や低域の厚みを期待してこの機種に手を伸ばすと、物足りさを感じるかもしれません。PEQで補完は可能ですが、デフォルトでは意図的に何も足さない仕様です。 中域から声の領域にかけては、分離感が良く位置関係がハッキリしています。男性ボーカルの重心が落ち着いて粒立ちがある感触、複数の楽器が重なるサビでも各パートが混ざらずに聞き分けられる感覚は、ノイズフロアの低さが効いているからでしょう。センシティブなIEMを接続しても背景が静かで、演奏が始まる前の無音部分に余計なものが乗ってこない、これは実際に聴いて気持ちいいところです。中高域は高域の伸びが精密で細かい音が聞こえやすい反面、高域の感度が高い耳には刺激と感じる場面が出ることがあります。付属アプリのNOSフィルターを選択するか、10バンドPEQで該当帯域を1〜2dB落とすことである程度は改善されました。 音場は精密な分離感が主役で、広がりよりも音像の位置がどこにあるかの確かさが際立っています。バランス出力のクロストークが非常に低く、弦楽器が重なる音源でも各声部の位置関係が崩れにくいです。個人的には、音場の「広さ」より「精確さ」を優先した設計と感じました。 筐体はCNCアルミ合金仕上げで、前面の透明ウィンドウからPCBとロゴが見えます。天面のボリュームスライダーは節度があり、ポケットの中で誤作動しにくい設計です。付属のUSB-Cケーブルは銀メッキ単結晶銅で、この価格帯のDACに付属するものとしては良いと思います。 機能面では、10バンドのパラメトリックEQにクラウドプロファイル共有が付いており、EQを1から組まなくても他ユーザーが調整したプロファイルを読み込める仕組みです。ゲーミング向けのモードは銃声・足音・環境音を個別パラメータで調整でき、5.1/7.1のバーチャルサラウンド処理と組み合わせて使えます。また、4.4mmバランスで音声を出力しながら3.5mmにCTIA標準マイクを差して同時使用する設計は、同価格帯で他に見当たらない機能です。Class AB(高忠実度)とClass H(省電力)の切替も実用的で、スマートフォンのバッテリーを節約したい場面はClass Hで運用できます。 同じCS43198デュアルDAC構成を採用するFiiO KA15と比較すると、KA15は高域がわずかに温かく低域量がわずかに多め、Space Proは上中域でわずかに上回り、出力も明確に優れています。同一チップ構成のProtocol Maxは約4,500円安く音質はほぼ同等で、その差分はゲーミング機能・マイク入力・Class AB/H切替・筐体品質という機能の上乗せに対する価格です。約33,000円のFiiO QX13のような物理ディスプレイやデスクトップモードの高出力は持ちませんが、Space Proの半額以下でコンパクトさを保ちながら日常の大半の用途をカバーできることでしょう。 総評:クリアーな出音を土台として、測定値・出力・機能性の三つが高い水準で揃っている機種です。「DACは音に手を加えず、EQは自分でかける」という考え方のリスナーには、PEQツールとしても源信として使える選択肢で、実売約18,000円という価格を踏まえても納得感があります。ただし、この評価の前提はニュートラル性格を受け入れられることです。音源側のウォームさや低域の豊かさをDACで補いたいリスナーには向かないかもしれません。
— Gadgetal編集部
スペックSPECIFICATIONS
各カテゴリーのデータベースDATABASE
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